高級品の着物や帯は、今でもひと針ひと針、手縫いで丁寧に仕立てています。その際、縫い針以外にも十数本の待ち針(表裏の布地を固定し縫い針が来るまで待つ針)を使いますが、この待ち針をはじめ、縫い針や折れ針が布地の隙間に残ることがあります。
昔は、和裁の始めと終わりに針の総数を調べることで、着物に針が残っていないか厳重にチェックしていましたが、それでも完全には除去はできなかったのです。老舗の呉服屋やデパートの呉服担当者なら2~3年に一度は、お客様から「針が入っていた!」と、きついお叱りを受けた苦い経験があるハズです。今だから話せる昔の思い出も、安心安全が常識となった現代社会なら許されるべきものでは有りません。いったん事故でも起これば、賠償問題に発展し風評が広まれば、たちまち社運はつきるでしょう。
※数年前、島根県浜田市で和服に残っていた縫い針が静脈から心臓に達し、実際に死亡事故が起こっています。